『側弯がなかったら本当は身長〇〇cm』が分かる!? 縮んだ身長を求めるための計算式

今回は側弯症の身長に関するお話です。

側弯症では脊柱が側方に弯曲してしまうことから、一般的には身長低下が生じます。

実際に手術を行い脊柱を真っ直ぐにすると、身長が伸びたというケースが多いのも事実です。

側弯症は思春期に多く、身長など身体的な変化には敏感な時期かと思います。

今回のスタディブログでは側弯症の影響で身長がどの程度低下しているかを簡易的に求める計算式をご紹介します。

『側弯症がなかったら本当は身長〇〇cm』と知ることができますので、参考程度に試してみてください。


計算式はいくつかある?

側弯症の身長低下を算出する計算式には大きく4つあります。

それぞれに発表者の名前がついており、「Bjure(ビューレ)」、「Kono(コウノ)」、「Stokes(ストークス)」、「Ylikoski(ユリコスキ)」と呼ばれています。

今回ご紹介するのは、計算値の精度が比較的安定している「Stokes法」、「Ylikoski法」です。

Stokes法の計算式

Stokes法:

Y = 1.55 − 0.0471 × コブ角 + 0.009 × コブ角²

Y:身長低下の大きさ(mm)

コブ角:最も大きいコブ角(°)

Stokes法の特徴としては、側弯症の状態として、カーブを2つ有するダブルカーブや3つ有するトリブルカーブなどであっても、最も大きいカーブのコブ角の値のみを用いる点です。

例1)

 シングルカーブでコブ角45°の場合:

Y = 1.55 − 0.0471 × 45 + 0.009 × 45 × 45

= 1.55 − 2.1195 + 18.225

= 17.6555

身長低下は約1.8cmという計算になります。

身長が155cmの方であれば『本当は身長156.8cm』くらいと言えます。

例2)

 シングルカーブでコブ角70°の場合:

Y = 1.55 − 0.0471 × 70 + 0.009 × 70 × 70

= 1.55 − 3.297 + 44.1

= 42.3530

身長低下は約4.2cmという計算になります。

身長が155cmの方であれば『本当は身長159.2cm』くらいと言えます。

Ylikoski法の計算式

Ylikoski法:

Y = 0.0062x + 0.0024x²

Y:身長低下の大きさ(mm)

x:メインカーブとマイナーカーブの各コブ角の和(°)

Ylikoski法はStokes法とは異なり、側弯症の状態として、ダブルカーブやトリプルカーブであれば全てのカーブのコブ角を足した値を用いる点が特徴です。

例1)

 胸椎カーブがコブ角45°、腰椎カーブがコブ角35°の場合:

Y = 0.0062 × 80 + 0.0024 × 80 × 80

= 0.496 + 15.36

= 15.856

身長低下は約1.6cmという計算になります。

身長が155cmの方であれば『本当は身長156.6cm』くらいと言えます。

例2)

 胸椎カーブがコブ角70°、腰椎カーブがコブ角60°の場合:

Y = 0.0062 × 130 + 0.0024 × 130 × 130

= 0.806 + 40.56

= 41.366

身長低下は約4.1cmという計算になります。

身長が155cmの方であれば『本当は身長159.1cm』くらいと言えます。

シングルカーブの早見表

側弯症がシングルカーブ(C字カーブ:弯曲が1つ)と仮定した場合、コブ角10°〜80°までの身長低下は計算上このような値となります。

シングルカーブによる身長低下の早見表

シングルカーブの場合、Stokes法とYlikoski法の値は大きく異なっています。

臨床的な感覚ではStokes法の方が実際の身長低下の値に近い印象です。

Ylikoski法は側弯カーブ全体の総和を計算式に入れるため、もともとシングルカーブで弯曲が1つしかない場合では低く見積もられる可能性があります。

そのため、シングルカーブの側弯症の方はStokes法で計算することをお勧めします。

《シングルカーブとダブルカーブのイメージ図》

ダブルカーブの早見表

側弯症がダブルカーブ(S字カーブ:弯曲が2つ)でメインカーブとマイナーカーブの差が10°と仮定した場合、メインカーブのコブ角20°〜80°までの身長低下は計算上このような値となります。

ダブルカーブによる身長低下の早見表

シングルカーブとは異なり、ダブルカーブで計算すると、Stokes法とYlikoski法の値はほとんど近いものとなります。

ダブルカーブの側弯症の方は、どちらの計算式を使っても実際の身長低下の値に近い数字が出てくるので、計算しやすい方で試してみてください。

まとめ

  • 側弯症による身長低下は、コブ角によっておおよそ計算することができます。
  • 計算式にはStokes法とYlikoski法があります。
  • C字カーブとも言われるシングルカーブの側弯症の方は、Stokes法で試してみてください。
  • S字カーブとも言われるダブルカーブの側弯症の方は、計算しやすい方で試してみてください。
  • この計算式を使えば『側弯がなければ本当は身長〇〇cm』が分かります。

側弯による身長低下に関しては、コブ角だけでなく、上半身の長さや、背骨の回旋変形など、他の要素も影響します💡

今回の計算式はコブ角だけで測れる簡易的なものですが、おおよその数値を把握するには優れています👀

コブ角については過去のスタディブログもぜひ参考に‼️

側弯症で重要な『コブ角』の測り方
参考文献

Marcin Tyrakowski, et al.: Calculation of corrected body height in idiopathic scoliosis: comparison of four methods, 2014.

Mauno Ylikoski: Height of girls with adolescent idiopathic scoliosis, 2003.

I A F Stokes: Stature and growth compensation for spinal curvature, 2008.

4件のコメント

  1. Stokes法で、娘の場合(コブ角82.5°)を計算してみました🧮
    結果は、58.92025。
    実際は、160.2㎝→164.6㎝なので、だいたい当てはまる?かな😊
    ダイスケさんは、どうでしたか?

    1. 計算試して頂いてありがとうございます!
      僕も5cmほど損してます😂

      娘さんは手術後に4.4cm伸びたんですか?💡

    2. ダイスケさんは、5センチ損されていましたか😅
      それは大きいですね💦
      娘は、そうですね、4.4センチほど伸びたことになります😃
      同じ時期に入院していた高校生の男の子(コブ角70°?ほど)は、手術後6センチ伸びたそうです😳

    3. 6センチも急に背が伸びたら、見える景色が変わりそうですね😳
      側弯が身長低下に及ぼす影響は、身長(胴)の高さ・カーブタイプ(シングルカーブやダブルカーブ)・背骨の回旋変形などによっても変わるようです💡

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